モンキー的映画のススメ

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主に新作映画について個人の感想、意見を述べた文才のない男の自己満ブログ

映画「ベテラン」感想 評価 レビュー 娯楽要素全部詰まったかのような韓国映画。

ベテラン

 

年1回くらいのペースでしか見ることの無い韓国映画。

ここ最近で言えば、建築学概論怪しい彼女といったラブ要素の作品をよく見ていましたが、アクションものは久々な気がします。

というわけで、早速見てまいりました。

 

 

 

あらすじ

広域捜査隊のソ・ドチョル(ファン・ジョンミン)は、男気あふれる熱血刑事。世話になったトラック運転手がシンジン物産を訪れた直後、意識不明の重体に陥ったことを知ったドチョルは、不審を抱いて真相究明に乗り出す。

その直感は的中し、この謎めいた事件には巨大財閥シンジン・グループの御曹司チョ・テオ(ユ・アイン)が絡んでいた。

卑劣なもみ消し工作、度重なる捜査妨害にも屈しないドチョルは、八方塞がりの中で巨悪との命がけの闘いに身を投じていくが・・・《HPより抜粋》

 

 

監督・キャスト

監督はリュ・スンワン監督。

http://pds.joins.com/news/component/moneytoday/201507/06/2015070616564533258_1.jpg

 「生き残るための3つの取引き」、「ベルリンファイル」などで韓国での扱いづらい内容の黒い部分を題材にしスリル感を生み出しながらも、台湾映画を見て育った経緯があるように、魅せるアクションも決して忘れず、その演出と脚本、完成度の高さから評論家、観客共に高評価なんだとか。

今作も痛快なアクションと人間模様、そして、韓国最大のタブーに挑んでいるとのこと。

 

ベルリンファイル Blu-ray

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 今回この作品を見に以降と思った理由がこれ。

これが意外と面白かったんです、twitterでたまたま見かけて気になって行ったら。

韓国の諜報員が北朝鮮とアラブ系の武器取引での捕獲に失敗。その背景に内通者の影があることに気づく。だが、その容疑をかけられたのは、彼の妻だった・・・。

北と南の絡みにアラブ系、ロシアなど複数の国が関わる世界規模に発展しかねない状態でのハラハラとガチガチなガンアクション、そして、主人公の妻への疑惑、韓国だからできる極上のサスペンスアクションでした。

しかも、哀しき獣での衝撃が忘れられないハ・ジョンウと名優ハン・ソッキュのタッグもこれまた見ものです。

 

 

主演のソ・ドチョルを演じるのがファン・ジョンミン。

http://imgnews.naver.net/image/213/2014/01/21/20140115_1389714341_81215400_1_59_20140121135407.jpg

 あー渡部篤郎っぽい雰囲気ですねー。ぱっと見。てか、すいません、この方全く存じ上げませんm(__)m

監督と「生き残るための3つの取引」で仕事して以来のタッグなようで、今年日本でもヒットした「国際市場で逢いましょう」の主演に抜擢され、一躍トップスターの仲間入りを果たしたそうです。

 

 

そして、財閥の御曹司チョ・テオを演じるのがユ・アイン。

 

 こちらも、K-POPアイドルのようなお姿ですが、俳優さんのようです。

韓国版「アンティーク~静養骨董洋菓子店」「トキメキ☆成均館スキャンダル」などの韓国ドラマで人気を博し、好青年を演じてきた彼が今回悪役に挑んだということでも話題になっているようです。

韓国ドラマは全く見ないのでどんなスターが出てくるかはこういう話題になる映画でしか情報を得ることが出来ないのが難点ではありますが、これで顔と名前を覚えられるほどの演技を期待したいですね。

 

 

他にも、個性の強い演技派ユ・ヘジン、ファン・ジョンミンと共演の多いオ・ダルス、世界で活躍するモデルで今作がスクリーンデビューのチャン・ユンジュなどが脇を固めます。

 

すいません、だ~れひとり知りませんっ!!!よくそんな映画見に行く気になったなぁ。マジで。

 

つーわけで、韓国で財閥でやらかしたって言ったら、あの飛行機でやらかした女副社長を思い出すわけですが、

そんな財閥のタブーを描いた痛快アクション映画の感想は、

 

 

 

 

 

 笑いもアクションも盛りだくさんな痛快刑事ドラマ!

以下、核心に触れずネタバレします。
 
 
 
 
 
 
 
 

これTVドラマの映画化?

まず思ったのは、これ本当にあのベルリンファイルの監督の最新作?
と疑ってしまうほど180度テンポも明るさも真逆の作品だったということ。
前作がドラマ性の強いサスペンスだったこともあり、もっと重々しい、いやせめてそんな部分があるんだろうと思ってみてたら全くない!
100パーエンタメ性の高い、純粋な勧善懲悪映画でした。
 
しかも、中味がテレ朝の刑事ものの連続ドラマを祝映画化!!
したかのような内容というか、ハデさというか。
キャラも立っていて、それぞれ見せ場があり、敵がクズ中のクズだから非常にわかりやすく痛快で。
これ日本映画なら間違いなくヒットするような面白さでした。
 
何が良かったって昨今の日本映画のように変に泣かせるような場面や、悪に説教するようなお奉行様は出てこず、
ベテラン刑事の主人公たちチームが下っ端なら下っ端らしく駆けずり回るだけで

 話が成立するのは見事だし、

笑って、アクションみて敵を倒して終わり!!ってムダがない出来になってたのがホント良かったです。

 

 

 

個性的なキャラも際立つ

主人公のベテラン刑事ドチョルはわかりやすいノリの良さとその正義感でチームから慕われている人情に厚い男で、
昇進もかかった大事な時期なのに正義の為に巨悪に突っ込んでいく、踊る大捜査線の青島のようなタイプのキャラでしたね。
現場でもベテランと思えないキレッキレなアクションを見せてくれました。
でも、家に帰れば嫁さんに怒られっぱなしな部分も憎めないナイスなキャラでした。
 
その相棒とも言うべきチーム長も立場がありながら仲間を信頼する良きリーダーで、笑いどころもほとんど彼が持って行ってましたね。
またいい笑顔見せてくれるんですわ。
ホントは彼も昇進したいのに、部下がムチャしてやらかすからきっと頭を悩ます毎日なんじゃないのかなぁなんて思ったりもしましたが、楽しくやってそうだったから大丈夫かw
 
他の部下たちも紅一点でも他の男性陣に引けを取らない気の強さとアクションと車の運転の下手さwwと啖呵を切るミス・ボンや、あまり出番なかったけど筋肉ムキムキのマスキングテープ貼りまくりのやつや、爽やか弟系草食イケメンのやつとか、
ざっくりですがどれも個性的なキャラチームでした。
 
 
でもって、ぴっちり横分けムキムキボンクラ息子のチョ・テオが本当にクズでしたねー。
ヤク中で、自己中で、パーティ好きで、親父の後ろ盾あるからクライアントはテオに頭上がんないから好き勝手やられて、オマケに女優を妊娠させて堕ろせからの拒まれ腹に一発ボディブローからの首絞め!
んでもって機嫌を損ねて飼い犬にアイアンでフルボッコ!
んー下衆の極み!鬼畜の所業!
やりたい放題もほどほどにしろ!と胸くそ悪なるほど腐れ外道でした。
 
そして、常務でテオの従兄弟にあたるチェも、テオの傍若無人な振る舞いに頭を悩ませながら会社の為、テオの為に粉骨砕身の思いでヘコヘコ事件の尻拭いをし、ヘマすると会長から杖でお尻を殴られる始末w
しかもそれみてテオはニヤける素振り。
直系の血筋とそうでないだけでこの差は何なんだ…一族経営怖っ!
っと見せつけられました。
てか、こいつの心情だけが1番わからなかったなぁ。ドロかぶりまくりだったのにニタニタしてたし。
いっそ裏切って欲しかったですね。
 
 
 

韓国のタブーを斬るとは

ナッツリターン事件なんてのが、もう大分前の話に感じますが、そんな事件よりも随分前から問題になってる財閥の横暴っぷりを取り上げた今作。
調べてみると、韓国では、1970年代の高度成長期以降、政府の後押しで創業者一族による財閥の力が増大したらしく、国内総生産の約75パーセントがいわゆる10大財閥によるものなんだとか。
サムスンヒュンダイLGロッテなんかがそれにあたるのかな。日本でもよく目にする企業ばかりっすね。
 
こんだけ経済を支える中で、やはりカネにものを言わせ脱税や横領で立件されても罪は軽く仮釈や優遇された措置をとってるそうで社会的な問題にもなってるみたいです。

 そんな財閥のバカ息子、バカ娘が実際に飲酒運転や、大麻、裏口入学など日常茶飯事のようで、

今作はそんな子供に焦点を置いて作ったことがわかります。

 しかも、テオは後妻の子供って事で2人の姉兄に事業を独占されそうになってる背景も垣間見ることができ、一族経営が兄弟間で火花を散らしてるわけですねぇ。

そんな金持ちのバカ息子を一般庶民で銀行に融資して家が買えるかもわからないような下っ端刑事たちが立ち向かう様が韓国でウケた要因なんでしょう。

 

にしても、できることなら財閥を揺るがすほどの大問題になってぶっ潰して欲しかったなぁ。

チラッとしかでてこない兄ちゃんと姉ちゃんとの確執とか、親父が検察に出頭したその後は何も描かれてないし。

今回のもみ消し事件が氷山の一角でズルズルと悪事を暴いて欲しかったです。

 

余談ですが、緊急会議の席で会長が席を立つまで離れられないからと男子全員紙おむつを履く件は笑いましたねー。

しかも、社内で幹部が出入りしたり、エレベーター使ったりすると館内放送で連絡してみんなが覚悟するとか、恐ろしい会社だなぁと。

 

てか、この題材にお金を出したスポンサーもすごいなぁ。財閥に目つけられないかなぁ。

 

 

そんな堅っ苦しい問題を頭に入れずとも、日本でもよく見る感じの刑事ドラマだし、コメディ要素も非常に強く、何と言っても都市部での豪快なカーチェイスと小道具を巧みに使い鮮やかに展開するアクションが韓国映画っぽくなく、娯楽映画として素晴らしい出来になっていたと思います。

日本のチンケなアクション大作なんかより数倍良いです。

中々の掘り出し物でした。

 

 

満足度 ☆☆☆☆☆☆★★★★6/10